賃貸用アパートを子世代へ相続するには?
公開日::2025年12月17日
相続相談の内容
60代 女性
郊外の一軒家に住んでおり、同じ敷地内に賃貸用アパートを1棟持っております。夫は既に亡くなり、2人の息子はそれぞれ東京で家を買い、家族と住んでおります。
子世代へ資産をスムーズに引き継ぐために、どんな事に注意しておけば良いでしょうか?
専門家の回答1
ご所有の賃貸アパートとご自宅を含む敷地を子世代へスムーズに承継させるため、家族信託は非常に有効な手段の一つです。
特に、ご自身(委託者かつ当初受益者)の判断能力が低下した後も、長男様・次男様(受託者や後継受益者)が柔軟に資産を管理・運用できるように設計できる点が大きなメリットとなります。
契約内容の法的有効性の確保と、生じうる税務上の問題を回避するため、経験豊富な専門家のサポートを必ずお受けください。
専門家
井出 萌々香
トリニティ・テクノロジー株式会社 コンサルティング事業部
得意分野:生前対策/財産管理/民事信託/遺言作成/任意後見/死後事務委任
専門家の回答2
賃貸アパートは、収益物件として相続後も不労所得を生むとともに、相続税としては建物、敷地ともに貸家建付地として、相続税評価額が減額されることに加え、要件を満たせば、敷地について、土地の評価額を50%減額できる小規模宅地等の特例を適用できる可能性があります。これに加え、建築時の借入金が残っていれば債務控除も可能なため、相続開始までアパートとして所有し続けることは、相続税の計算上有利といえます。
このように、賃貸アパートの所有は、相続対策において有利な面がある一方で、その現物分割の難しさから、息子様お二人の遺産分割争いを招く可能性がある点に注意を要します。相続開始後、この収益物件をどちらの息子様が引き継ぐのか、あるいは共同名義とするのかで、トラブルが生じかねません。
このため、遺言書を作成し、ご自宅と賃貸アパートの承継者を指定するとともに、公平性を保つため、賃貸アパートの将来の収益性に見合う額を、金融資産等で調整するなどの配慮が必要でしょう。
専門家
前山 静夫
税理士法人チェスター東京本店審査部
得意分野:相続税/相続税の生前対策/所得税
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