オンライン診療とは?
処方箋の取扱いや薬の受け取り方、メリットやデメリットを紹介

近年、情報通信技術の発達を受け、医療分野でもオンラインでのサービスが拡充しています。

しかし、これまで医療機関で医師と対面して診療を受けることが一般的であったこともあり、「オンライン診療とはどのような仕組みなのだろう」「どのようなメリットがあるのか」など、疑問や不安を感じる方もいるのではないでしょうか。

この記事ではオンライン診療の仕組みや流れ、メリットやデメリット、処方箋の取扱いや薬の受け取り方などを解説します。オンライン診療がおすすめな人やよくある疑問に対するQ&Aも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

オンライン診療とは?診察の流れ

オンライン診療とは、遠隔診療のうち、スマホやタブレット、パソコンやテレビなどを使ってリアルタイムで受ける診療のことです。

オンライン診療では、スマホなどの画面を通して医師の診察を受けられます。医療機関や薬局を訪れなくても、問診や診察、薬の処方や料金の支払いなどができる便利な診療方法です。

厚生労働省は医療提供を受ける方の利便性や医療サービスの質の向上を図るため、オンライン診療の保険適用の対象拡大や服薬指導のオンライン化を実施しています。

2018年3月には「オンライン診療の適切な実施に関する指針(PDF,577KB)」が策定されました。その後、幾度かの改訂を重ねてオンライン診療のガイドラインが示されています。

オンライン診療の流れ

オンライン診療の流れは以下のとおりです。

  1. 医療機関検索・診療内容の確認
  2. 事前の予約
  3. オンラインでの問診・診察
  4. 決済・薬の受け取り

オンライン診療はすべての医療機関・診療科目で行われているわけではないため、初めにオンライン診療が可能な医療機関を検索します。

対応する医療機関を決めた後、事前予約をとり、オンラインでの診療や料金の支払い、薬の受け取りをするのが大まかな流れです。

オンライン診療の
メリット

オンライン診療の代表的なメリットは以下のとおりです。

  • 自宅で受診できる
  • 待ち時間を短縮できる
  • 二次感染や院内感染の心配がない
  • ほかの人と会うことなく受診できる
  • 対面同様で疾患によって保険が適用される
  • 夜間や早朝の時間帯でも受診できることがある

各メリットの詳しい内容を紹介します。

自宅で受診できる

オンライン診療の大きなメリットは、インターネットに接続できる環境さえあれば、自宅で受診できる点です。

通院にかかる負担を大幅に軽減できるほか、離島や過疎地域にお住いでなかなか医療機関にアクセスできない方も、医療提供を受けやすくなります。

総務省がオンライン診療実施機関に行った調査では、「通院が難しい場合にも診察が受けられる」「自宅のリラックスした環境で医療を受けられる」といった回答が得られており、多くの方がオンライン診療のメリットを感じている様子が伺えます。

出典:総務省「平成30年度総務省事業 オンライン診療の普及促進に向けた モデル構築にかかる調査研究(PDF,1.64MB)

待ち時間や移動時間を
短縮できる

オンライン診療は事前予約が可能な場合が多く、医療機関の待合室での待ち時間を減らせる点がメリットです。

オンライン診療サービスや医療機関によっては事前予約制でない場合もありますが、その場合でも、移動時間を短縮できる上、待ち時間には自宅で自由に過ごせる点は大きなメリットです。

また、料金の支払いもオンラインで行うので、診療後、支払いのために待っている必要もない利点があります。

二次感染や院内感染の
心配がない

オンライン診療は医療機関を訪れなくても良いことから、二次感染や院内感染の心配がありません。

インフルエンザや新型コロナウイルスをはじめとした感染症の流行期は、人が多く集まる場所を訪れたくない方もいるでしょう。

そのほか、免疫力の低い小さなお子さんや受験期で感染をしたくない方など、人が集まる場所へ行くことに抵抗がある場合にもおすすめです。

ほかの人と会うことなく
受診できる

診療内容によっては、その症状で医療機関を受診していることを知られたくない方もいるのではないでしょうか。オンライン診療なら待合室でほかの人と顔を合わせることもないので、プライバシーが守られます。

対面同様で疾患によって
保険が適用される

オンライン診療でも、医療機関での対面診療と同じく、疾患によっては保険が適用されます。

別途、オンライン診療ではシステム利用料のような手数料(名称や金額は医療機関による)かかる場合はありますが、診察料については保険が適用された料金で受診できるメリットがあります。

ただし、症状や治療内容によって、保険適用となるかどうかは異なるため、気になる場合は受診予定の医療機関へ事前に確認すると良いでしょう。

夜間や早朝などの時間帯でも
受診できることがある

オンライン診療は、医療機関により夜間や早朝の受診が可能な場合があります。通常であれば開いている医療機関が少ない時間帯でも受診でき、日中に通院する時間がない場合にぴったりです。

なお、受診可能な時間帯はオンライン診療サービスや対応医療機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

オンライン診療の
デメリット

オンライン診療の主なデメリットは以下のとおりです。

  • 初診では処方できない薬がある
  • 検査結果や医師により不可と判断された場合は対面診療となる
  • 初期設定や操作への慣れが必要

メリットだけでなくデメリットも把握しておくと、実際にオンライン診療を利用する際に役立ちます。

初診では処方できない薬がある

オンライン診療は、以下の医薬品は初診で処方できません。

  • 麻薬や向精神薬
  • 基礎疾患などを把握できていない患者への免疫抑制剤などの安全管理が必要な医薬品の処方
  • 基礎疾患などを把握できていない患者への8日分以上の処方

オンライン診療は、基本的に医師の判断により、症状に対応した医薬品の処方が可能です。

ただし、安全面の配慮から、安全管理が必要な医薬品や8日分以上の長期に渡る薬の処方は禁じられているので注意しましょう。

また、オンライン診療では診察が困難な症状もあるので、問診の結果対面受診が必要であるとされた場合にはすみやかに従うようにしましょう。詳しくは記事下部のQ&A「オンライン診療に適した診療科目、適さない診療科目はある?」をご覧ください。

検査結果や医師により
不可と判断された場合は
対面診療となる

オンライン診療では、どのような疾患や怪我であろうと、検査結果や医師によりオンラインでの診察が不可と判断された場合は対面診療となります。

対面診療が必要とされた場合は、医療機関の指示に従うようにしましょう。

初期設定や操作への
慣れが必要

オンライン診療を受けるためには、スマホやテレビなどの初期設定、オンラインでの登録作業や事前予約、支払方法の入力といった操作を行います。

各設定や操作は、それほど難しいものではありません。

ただし、はじめて利用する場合には設定や操作に戸惑う場合もあるので、利用するオンライン診療サービスまたは医療機関のガイドを確認しつつ、操作に慣れる必要があります。

オンライン診療は
こんな人におすすめ

オンライン診療は以下のような方におすすめです。

  • 通院の時間がなかなか取れない方
  • 最寄りに医療機関がない方
  • 高血圧やぜんそく、花粉症など経過観察は必要だが症状は安定している方
  • 「禁煙したい」のような、症状が明確かつリスクが極めて低い治療を目的としている方

例えば、仕事で忙しい会社員や子育てで大変な方の場合、通院時間がなかなか取れない方もいるかもしれません。オンライン診療なら移動時間や医療機関での待ち時間を必要とせず自宅で受診できます。

そのため、医療機関を受診できないまま症状が悪化してしまうケースも防げ、健康管理に役立ちます。

オンライン診療での
処方箋の取扱い

オンライン診療の場合、処方箋はどのように取り扱われるのでしょうか。以下で、院内処方と院外処方に分けて解説します。

院内処方での処方箋

院内処方は受診した医療機関で診療後に薬が処方される方法です。オンライン診療では、対面診療と同様に、処方箋の原本は医療機関内で受け渡され、患者側が受け取ることはありません。

院外処方での処方箋

院外処方は受診した医療機関以外の調剤薬局で薬が処方される方法です。

対面診療では処方箋の原本を受診した医療機関で受け取り、調剤薬局で処方箋を渡して、薬を受け取ります。オンライン診療でも、従来は郵送で処方箋が患者へ郵送され、薬局で服薬指導を受けて薬を受け取る方法が一般的でした。

ただし、現在はオンラインでの服薬指導も認められています。そのため、医療機関から直接薬局へ処方箋が送付され、オンラインで服薬指導を受けたあとに薬を受け取ることも可能です。

オンライン診療での
薬の受け取り方

オンライン診療での薬の受け取り方は主に2つです。

  • 薬を医療機関または薬局から宅配や郵送で受け取る
  • 薬局へ薬を取りに行く

各方法の詳細を解説します。

薬を医療機関または薬局から
宅配や郵送で受け取る

オンライン診療を受けた医療機関が薬の配送を行っている場合は、薬を宅配や郵送で受け取れます。診察が終わった後、医療機関に薬の配送を手配してもらいましょう。

オンライン服薬指導に対応する薬局なら、オンラインで服薬指導を受けて、薬を配送してもらえる場合もあります。医療機関での診察後、希望する薬局名とオンラインで服薬指導を受けたいことを医師に伝えましょう。

薬局からオンライン服薬指導を受ける場合、受診した医療機関から処方箋が薬局へと送付され、その処方箋をもとにオンライン服薬指導が実施される流れです。服薬指導完了後、自宅へと薬が配送されます。

なお、薬を配送で受け取る場合は、配送料がかかることがあります。

薬局へ薬を取りに行く

オンライン診療で処方された薬は、薬局で受け取る方法もあります。薬局で受け取る方法は主に以下の2つです。

  • 医療機関と相談して決めた薬局に処方箋を送付してもらい、薬を受け取る方法
  • 薬局指定なしで処方箋を自宅へ郵送してもらい、後日希望する薬局に行き調剤してもらう方法

上記の方法は対面での服薬指導に対応可能です。

オンライン診療に
関するQ&A

オンライン診療に関するよくある質問をQ&A形式で紹介します。オンライン診療を受診する際の参考にしてください。

オンライン診療に適した診療科目、適さない診療科目はある?

日本医師連合会は、初診はかかりつけの医師が行うことや、かかりつけの医師がいない場合などにはオンライン診療を行った医師が対面診療を行うことが望ましいとしており、基本的には慢性疾患での継続受診向きです。

特に、緊急性の高い病気(急性の呼吸困難や強い胸部圧迫感)や画面越しの問診やオンライン診察では必要な情報を得にくい病気やけが(レントゲン検査が必要な症状や映像でわからない皮膚病変など)は、希望する医療機関を受診したほうが良いでしょう。

一方、禁煙外来といった医療的緊急性が高くなく、症状や悩みが明確なものはオンラインで初診診療が可能であることが多いです

出典:一般社団法人⽇本医学会連合「オンライン診療の初診に関する提⾔(PDF,853KB)

オンライン診療を受けるために必要なものは?

オンライン診療を受けるためには、健康保険証、スマホやタブレットなどの通信機器、インターネット環境、パソコンやテレビで受診する場合にはウェブカメラやマイクなどが必要です。

また、オンライン診療サービスを利用する場合には、事前登録やアプリのダウンロード、クレジットカード登録といった支払手段の準備が求められます。

オンライン診療でも近場の医療機関を選ぶほうが良い?

オンライン診療は、自宅から遠い医療機関を選ぶことも可能です。しかし対面診療が必要となった場合も考慮し、近場の医療機関を選ぶと良いでしょう。

例えば、J:COMオンライン診療の提携医療機関は以下の通りとなっており、全国で拡大中です。

J:COM オンライン診療 医療機関一覧

オンライン診療の場合、対面診察と比較して料金は高くなる?

症状や医療機関にもよりますが、一般的にオンライン診療か対面診療かで、診察にかかる料金はあまり変わりません。

1回のオンライン診療でかかる料金項目は、オンライン診療システム利用料、医療費、調剤費、処方箋配送料などです。導入時に必要端末を購入する必要があれば、それらの購入代も必要となります。

例えば、J:COM オンライン診療はオンライン診療利用料が1回330円(税込)で、くわえて医療費や調剤費、処方箋配送料などがかかります。

オンライン診療の処方箋原本はどうなる?

オンライン診療で発行された処方箋は、医師から医療機関内外の薬局へ送付されたあと、薬局で保管されます。

オンライン診療での処方箋の有効期限とは?

対面診療でもオンライン診療でも、処方箋の有効期限は発行日を含めた4日間です。処方箋を送付してもらって自分で薬局に行く場合は、有効期限が切れないように注意しましょう。

オンライン診療では電子処方箋に対応できる?

医療機関や薬局によっては「電子処方箋」を導入している場合もあります。

電子処方箋とは、処方箋を電子化したもので、複数の医療機関や薬局で処方・調合された薬のデータを一括に参照できる仕組みです。処方時に別の医療機関から処方された薬との相性や、重複処方の確認がしやすくなります。

電子処方箋は、医療機関や薬局で「電子処方箋」を選び、マイナンバーカードを用いた顔認証を実施の上、薬情報の提供に同意することで利用できます。

オンラインでの診療や服薬指導でも、電子処方箋の利用は医療機関や薬局により可能です。

しかし対面診療と異なり、オンライン診療ではマイナンバーカードと顔認証システムでの認証ができないため、薬情報提供に同意ができず、現状は医療機関や薬局は過去の薬剤を見られないといった制約があります。

スマホやテレビで利用可能!オンライン診療なら「J:COM オンライン診療」

オンライン診療は医療機関を訪れることなく診療を受けられ、薬の処方をしてもらえます。オンライン診療を受診するなら、「J:COM オンライン診療」がおすすめです。

「J:COM オンライン診療」はスマホ版とテレビ版があり、スマホでもご自宅のテレビの大画面でも診察を受けられます※1

「おくすり受け取りサービス」を活用すると、自宅や薬局窓口で薬を受け取れるのでとても便利です。機器の設置から操作までサポートを受けられるので、電子機器の取扱いが苦手な方でも安心です。

また、スマホで利用する場合は、お持ちのスマホに「MY J:COM」アプリをダウンロードし、J:COMパーソナルIDを登録すると利用可能です。アプリを使って診療科やエリアで医療機関の検索もできます。

さらに、「J:COM オンライン診療」は、スマホで申し込んだその日からオンライン診療を利用できる点も魅力です。すぐにオンラインで診察を受けたい方におすすめのサービスとなっています。

  • テレビでご利用にあたっては、J:COM LINK、または、IP-STBへの加入が必須となります。

まとめ

オンライン診療は、自宅で診療から服薬指導、薬の受け取りまでを完結できるサービスです。「なかなか医療機関に行く時間が取れない」「近くに医療機関が少ない」という場合に、自宅で医療提供を受けられ便利です。

「J:COM オンライン診療」では、2023年11月からスマホでオンライン診療を受けられるサービスを開始しました。オンライン診療に興味のある方は、ぜひ「J:COM オンライン診療」の利用をご検討ください。